新宿の朝日カルチャーセンターでは、「ルキノ・ヴィスコンティ その映画の背後にあるもの」と題して、ひとつの作品を取り上げて、成立の過程、映画の内容とその影響など、さまざまな角度から魅力をほりさげています。
前回は『郵便配達は2度ベルを鳴らす』。まだまだ話し足りないこともあるのですが、それはおいおいまとめるとして、今回はアンナ・マニャーニ主演の『ベリッシマ』を取り上げます。じつはヴィスコンティ、『郵便配達』の主役ジャヴァンニにはマニャーニを考えていたというのですが、妊娠が判明してかなわず、それでもこの大女優と仕事がしたいと、チェーザレ・ザヴァッティーニの脚本でこの映画をとることになったといいます。
ですからこの作品では、ザヴァッティーニ&ヴィスコンティという取り合わせを堪能しながら、そこにどこかチグハグなところも見出すチャンスでもあるわけです。ぼくとしては、そのあたりに関心があるのですが、作品自体はとてもおもしろい。終戦直後のイタリアの夢もみごとに描き出されている。そしてヴィスコンティならではの美意識だって盛り込まれているわけですから、これは見逃せません。
ご関心のある方はぜひ。
以下、朝カルのリーフレットより講座案内です。
『ベリッシマ』(1951)
この講座ではルキーノ・ヴィスコンティの映画をひとつとりあげ、歴史的な出来事や文学作品との関係など、作品の背後にあるものを掘り下げてゆきます。今回取り上げるのは『ベリッシマ』(1951)です。ヴィスコンティは『揺れる大地』(1948)の興行的な失敗により3年間も映画が撮れない状態でしたが、当時の人気脚本家チェーザレ・ザヴァッティーニの原案で、アンナ・マニャーニを主演にする条件で監督を引き受けます。当代きっての人気女優マニャーニとの関係や、この作品にこめたヴィスコンティの意図、そのフィルモグラフィーにおける作品の意味などを、ご紹介してゆこうと思います。(講師記)
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終わりました。今回の発見はヴィスコンティが『ベッリシマ』の前に企画しながら実現することなく、結局別の監督が映画化した2本の映画。ひとつはヴァスコ・プラトリーニ原作、カルロ・リッツァーニ監督の『Cronache di poveri amanti』(1954)。
もうひとつはジャン・ルノアールの『黄金の馬車』(1953)。
こういう発見があるからセミナーはやめられないんですよね(^^)/
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